Who is this? 2.

「おや?」
「よお」

阿良々木暦は本当に何気なく、手を上げた。
道で偶然会ったにしては、余り驚きも感動もない態度ではある。

「阿良々木先輩、私は悲しいぞ!」
「ほう神原、どうせろくな事じゃないだろうから聞くのも躊躇われるのだけど、とりあえず久しぶりにあった神原が立派なレディに成長してる事を願って聞いておくよ、何が悲しいんだ?」
「阿良々木先輩の国の挨拶は抱きついて胸を揉む事なのだろう!? 何故私にしないんだ! ここは日本だが自国の文化は守るべきだ!」
「僕の国で揉むのはでかい乳だけだ!」
「小学生の胸を揉みちゃくったとの伝説を残した阿良々木先輩が何を言っているのだ? そんな事を言って私の尊敬を買おうとせずとも私はとっくに阿良々木先輩を尊敬しているぞ!」
「それを尊敬するお前はどうかとかとりあえず置いておいても、そんな伝説があるのか!? 語り継がれているのか!?」
「祖父が私にくれたのは、阿良々木先輩の伝説。こんな素敵な伝説を聞ける私は、きっと特別な存在なのだと思ったのです。今では私がおじいちゃん――」
「壮大なパロの途中で悪いがお前は御歳もって社会人一年生だ!」
「そうだ、立派なレディだぞ!」
「レディの役は淑女であって痴女じゃない!」
「痴女? 知の病に陥った女の事だな?」
「性の病に陥る危険をはらんでる女の事だよ!」
「ふふふ、そう蔑んでくれるな、嬉しくなる」
「うっわあ、お前自体よりもこれに慣れちゃってる自分にヒくぜ」
「さすが阿良々木先輩、自己反省の精神の強いお方だ」
「物は言いよう!」
「MONOは良いよう!」
「いつからこの世界は消しゴムのコマーシャルになったんだ!」
「しょうがない、この世界はアニメだからな。スポンサーは大事なのだ」
「この世界がアニメだったらお前の出番は大幅カットだ!」
「ふふん、言ったな阿良々木先輩。本当にそうなるのか賭けをしないか? 私が負けたら私が脱ごう」
「お前が勝ったら僕が脱ぐのか?」
「いや、私が脱ごう」
「脱ぎたいだけじゃねえか!」
「私が(一肌)脱ごうと言っただけだ!」
「しまったカッコ内読み飛ばした!」
「いや、先輩なら見えるはずだ、自身を持ってくれ阿良々木先輩」
「む、お前に言われるとそんな気がしてくるよ」
「それは光栄だ。では試してみよう」
「よし来い」
「阿良々木先輩って本当に(どうでも)いい人だよねえー」
「ぐああああああ! カッコ内が読めない! なのに何故か胸が痛い!」
「阿良々木先輩、どうか(星になって)瞬いて!」
「ぐはっ! やっぱカッコ内読めない! 詠みたくない!」
「阿良々木先輩は(憎しみ)深い精神の持ち主である」
「つーか何で全部僕が例文なんだ!」

収拾がつかなくなっていた。
そこまで喋った後で溜息を吐いてから、阿良々木暦は言う。

「そういや神原、戦場ヶ原の近況しらないか?」
「戦場ヶ原先輩なら今私の横で裸で寝ているぞ」
「バーロー風邪引くわ!」
「近況というならごく最近あったぞ」

「――どうだった?」
「うーむ……嫌いな奴を着信拒否したとか言っていたな」
「僕のことか!」
「冗談だ。でもまあ、後ちょっとで元に戻ると思うぞ。半年後ぐらい」
「どこがちょっとだ! お前の待ち合わせに半年遅れて行ってやろうか!」
「うむ、喜んで待っているぞ!」
「嘘付けといいたいがお前ならありそうなのが凄く嫌だ!

本当に、楽しそうに、笑うようになった。
だから私は――笑った。