2.	零崎一家と戯言遣い。



「ちぃーっす欠陥製品」
「・・・・やあ人間失格」
「ん?どーしたよ。ちぃーっとばかし元気がねえな。ああ、元々か。かははっ」
「いやあ、さっき人類最強と最悪と最終に金をぼったくられたばかりでね。
 ここでもしもお前がお年玉とでも言いやがったら殺してやりたいぐらいの落ち込みようなんだ」
「あーなるほど。そーいう事情ね。なら安心しろよ欠陥製品。心優しくて優しくてたまらない俺はそんなこと言わねーから」
「そうか。例えお前が背が低くて顔面に刺青してるイカれた殺人鬼だったところで安心できる台詞だよ」
「そーだろそーだろ。背が低くて顔面に刺青してるイカれた殺人鬼が実は影で正義の為に戦う正義漢っていうのが今の流行りだからな」
「まあぼくは正義の為に戦う正義漢になんてなりたくはないけどね」
「俺だって本当は只のイカれた殺人鬼さ。だから俺の存在理由にのっとって、純粋な脅迫といこーぜ」
「は?」
「金をだせ」
「・・・・・・・・・」
「殺して解して並べて揃えて、晒されたくなかったらな」
「・・・戯言だ」
「傑作だろ?」
「人識くんいけませんよー迷惑かけちゃ」
「・・・また登場人物が増えたね」
「今更。とりあえず・・・舞織」
「よろしくお願いします欠陥さん。人識くんの妹の舞織です」
「妹?」
「妹。」
「女子高生?」
「女子高生。」
「妹で女子高生か。」
「妹で女子高生さ。どーしたいーたん惚れちまったか?」
「心配するなよぜろりん。ぼくは年上のおねいさん専門だからね。」
「そーいや隣の部屋のかっこいいねーちゃんどうしたよ。実はお年玉よりそっちが目当てなんだ」
「残念ながらみいこさんは比叡山の破戒僧とデートだよ」
「ふーん。それは残念だ」
「それよりも人識くん。今はお年玉ですよ」
「おっとそうだった。というわけで欠陥製品、お年玉」
「お年玉ー」
「それがつい先程詐欺にあった人間にいう台詞か」
「おう。なんたって俺は人間失格だぜ」
「どっちにしろ私達は殺人鬼ですよ」
「殺人鬼に情けを求めるなんざ間違ってるよなあ舞織?」
「まったくその通りだと思います。」
「零崎一族ってのは家族思いな一賊なんだろ?彼らにもらえばいいじゃないか」
「毎晩夜通しで家計簿に向かってるお兄ちゃんにそんな事いいだせませんよう」
「そんな鬼みてえなこと言えるわけないよな。」
「ですよ。」
「最も大将に頼むって手はあったんだが・・・」
「冬にあの格好は直視できませんよね」
「一体どんな格好を・・・」
「薄地のノースリーブ一枚。」
「寒っ」
「弟妹達お待たせ!お兄ちゃん来たよ!お年玉のために」
「あ、兄貴。金欠じゃなかったのか」
「そうですよお兄ちゃん。私これからご飯が毎晩カレーのあっためたヤツなんて嫌ですよう」
「俺だって嫌だ。既に死活問題なんだからな」
「優しい弟達を持って私は幸せだよ。でも心配はいらない!臨時収入が入ったからね」
「おおっ」
「で、臨時収入ってのは」
「驚くなかれ10万円!」
「お兄ちゃんすごいっ」
「自殺志願にかかればこんなものさ」
「ん?どうした欠陥。そんな遠い目をして。」
「鋏?」
「鋏。」
「赤黒くなってるのは気のせいかな」
「気のせいじゃねえよ」
「やあっ!君が人識の友達のいーくんだね!私は人識の兄の零崎双識、零崎一賊の長兄さ。さあ君にもお年玉だ」
「えっと・・・いえぼくは」
「気にしなくて構わないよ。これはほんのお近づきの印さ。弟の友達なんだ、当然だろう。」
「いえ・・・所在のわからないお金はちょっと・・・」
「なに、所在ならばっちりだよ。持ち主も既にこの世にいないから大丈夫さ」
「・・・いいお兄さんだね」
「だろ。」



(1/1。大人の事情の飛び交う時)(質問しては、いけません)