ハロウィン1





悪戯? お菓子? そんなもの要らない



本当の本当に欲しいのは・・・





10月31日、ハロウィン当日

白鷺は何故か、必死の形相で追いかけてくる蝙蝠から逃げ回っていた

二人が追いかけっこを始めてかれこれ30分

いつもの事だと達観している者、自分に火の粉が降り注がなければ良いと思っている者など

それぞれだが、一同が二人を止めないのは・・・ 主に蝙蝠を止めないのは同じ事

ずっと追いかけられっぱなしの白鷺は、息は上がっていないもののイラついているらしく

不愉快そうに後ろを振り向きながら速度は落とさず怒鳴る

「!よろしに減加いい」

「きゃはきゃは、逃がさねぇよ!!」

「!!なんけざふ」

「ふざけてなんかねぇもん」

怒られてものらりくらりと逃げて相手にならない蝙蝠は

テンションが高い割に、一向に疲れた様子を見せない

白鷺はその事に内心舌打ちして、速度を上げた



突然速度を上げられた蝙蝠は意地になって追いかける

「これ着るだけなのになんでそんなに逃げるんだよ?!」

「!!よだんな題問が服のそ」

蝙蝠の右手に握られているハンガーに掛かっているのは

上から下まで真っ白い、まるで幽霊が着ているような洋服で

そんなものを着ろといわれれば、ごく普通の人間は怒ると思うが 蝙蝠はそうは思わない

白鷺は、今日がハロウィンだという事は知っていたし その服が仮装用のものである事もわかっている

蝙蝠が何日も前から、人一倍ハロウィンを楽しみにしていた事も知っている

それでも、誰にだって譲れない一線というものはあるのだった・・・





あれから一時間走り続けて、互いにしんどくなってきた頃

マジギレ寸前の白鷺が急に止まり振り返って、蝙蝠を怒鳴った

「!!鹿馬のこ、ぞるれ切で気本」

最初のようなじゃれあいの言葉ではなくて、本心からの拒絶

他の人間の居ない白鷺の部屋で怒鳴られて さすがの蝙蝠もふざける事を止めざるを得なくなった

冷たい空気に、やっと自分のしていたことに気付いてうな垂れる

「…ごめん」

「どけいいに別……」

互いに落ち込んで、微妙な空気が流れる

会話が続かなくなって、二人は背中合わせに座り込んだ

「けわたしとうよせ着にてっなに地意なんあでんな」

「……」

「どけい良もてくなえ答らないなくたえ答」

「…っしょに、いたかったから」

「?あ」

「一緒に居たかったからだよっ! 聞いてほしかったからだよ、悪戯か菓子かって!!」

怒ったような、拗ねたような表情で言う蝙蝠に きょとんとする白鷺

それっきり黙って俯いてしまった彼に、白鷺は納得がいった様な表情を浮かべる

「かけわたっかしほてし、戯悪」

あからさまなその言葉にがらにも無く赤面する蝙蝠

「悪いかよ」

「?やい」

背中ごしに伝わる温もりと、揶揄うような声音に

もう一度頬を膨らまして 向きをかえ、抱きつく蝙蝠

「悪戯か菓子か? なんて聞かなくても おれは悪戯するし」

「きゃは、最悪」

標準語で言った白鷺に、にやりと笑う蝙蝠

そしてそのまま、どちらからともなく・・・ ゆっくりと口付けた





悪戯? お菓子? そんなの要らない



本当にほしいのは・・・ 彼からの甘い口付けだけだから











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霜月夢様宅から強奪してまいりましたハロウィンフリーですv
個人的に蝙蝠さんが「きゃは」って言うのすっげー可愛いと思うんですがどうでしょうか(聞くな)
「キャハ」だったら駄目何だよ「きゃは」なんだよ(どうでもいいよ)

どうもありがとうございましたvでもまだまだありますv


ハロウィン2