「石凪」 「なんです? おじさん」 「お前はどうもこうも行く先々にいるんだ」 「さあ。僕自身は何もしてませんよ。運命って奴かもしれません」 「……くっだんねえな」 最早何回目になるか考えたくもない、再会を果たした二人。 「あるいは僕のお呪いが利いたんですね」 「お呪い? 呪いじゃねえのか」 「どっちでも同じですよ、おじさん」 とりあえず返してから、気がついたように少年に詰め寄る男。 「ちょっと待てお呪いってどういうことだ」 「いやですねえ。子供の可愛いお呪いですよ」 そんな風に誤魔化して、少年は手を振った。 「今のところお呪いはちゃんときいてます。僕の日頃の行いがいいんですね」 「……あるいは俺の行いが悪いんだな」 陰鬱そうな声で呟いた男に、少年はゆっくりと笑いかける。 「それじゃあまた」 そんな風な呪いの言葉を吐いて、颯爽と去っていく少年。 その後姿を、恨めしそうに睨みつける。 「さよならよりじゃあまたね……ってガキかよ」 あ、いやガキなのか。青年は口を押さえて、自身自身は何も言わず、その場を立ち去った。 もう一度逢えると、信じているから |