重複依存の自己矛盾 (重なりすぎてて依存できなかっ、た) 「兄貴っ」 大きな声を出して天真爛漫に、理澄が僕の元にやってくる。 僕はその笑顔に良く似た、それでいて全然違う笑みを浮かべながら、愛しの妹を迎え入れる。 それは、それは。幸せで哀しい世界だった。 理澄の日常を、幸せを、喰らう様にして僕は生きている。 僕が格好いい笑顔の殺人鬼やらと、楽しく遊んでいる間、妹は一人で。 一人で、寂しさを寂しさだと感じないまま、生きてきたのだ。 今、この時理澄が近づいてくるこの瞬間だって、僕が命じればなかったことに出来る。 喰らう様に、なんて生ぬるい表現だったかもしれない。もう、妹の日常は完全に侵食されている。 だからこの瞬間の幸せを、少しでも大切にしたいと思うのは、僕のエゴなのかもしれない。 あるいは同情。哀れみ。僕は馬鹿だから、それがなんなのかはわからない。 「理澄っ」 理澄は、僕が名前を呼ぶと楽しそうに笑う。僕はその笑顔を見ると、どうしようもなく妹が可哀相になって、 同時に何故か僕が可哀相になって、壊してしまわないように、壊してしまうように、妹を抱きしめた。 「痛いよ兄貴」 わざとだよ。そうすればお前が、このぬくもりを覚えてくれるかもしれないから。 * * * 理澄が死んだ。 僕は自由になった。 僕が理澄を食いつぶしているのと同じに、僕も随分理澄に喰われていたらしい。 だって当たり前だ。僕らは二人で一人なんだから。 ああ、だから妙に、喰われていた部分が疼く。 なくなってしまったのだ。喪失。ばらばら。 ジグザグに、一人は二人になって、また一人になった。 それでも自由になれたことで、喜んでいる僕が居て。 やっぱり理澄への気持ちは、ただのエゴで同情なのかもしれなくて。 だけど、馬鹿な僕にはわやっぱりわからない。 勿論この涙の意味さえ 、 |