【雪灯り】


ちらちらと絶え間なく降る雪
そっと手のひらを出してみると、触れた熱で溶けていく
冷たくて、儚くて、脆くて、弱い
良い所なんて何一つも無いのに、心躍るのは巷で噂になっていた祭りの所為か
―― 噂の祭
どこぞの国のきりすとという人間の誕生日
一年間良い子にしていると、赤い服をきたおじいさんが贈り物をくれるという
反対に悪い子だと、黒い服を着たおじいさんに連れて行かれてしまうという

「人鳥さん」
「蜜蜂君… 君もなの?」
「ダメですか?」
「ううん、みんな考える事は一緒なんだなって思っただけだよ」

隣に座ったら?と示すと、手に持っていた盆を下に置いてから座る蜜蜂君
会話も無く、盆の上のお茶に手を伸ばすわけでもなく
ただひたすらにぼうっと、雪の降ってくる空を見上げていた

「さんたくろーす、でしたよね 来るの」
「らしいね、でも僕たちのところに来るのは決まってない?」
「ですよねぇ」

良い子にしてたら、赤
悪い子だとしたら、黒
もしも本当に、見返り無しに贈り物をくれる人間が居るのだとしたら
自分達の所に来る方は決まりきっている


「…人鳥?」
「そこで何をしている、蜜蜂?」

黒い装束の、夜闇に目立つ髪の色
深い緑の装束の、夜闇に溶け込む髪の色
本当に待っていたのは・・・

「喰鮫さま」
「蟷螂さん」

さんたなんていう、わけのわからない噂上の人物じゃなくて
この世で一番好きな人

「赤なんて」
「殺しの後としか」
「血染めの着物としか」
「思えませんよね」

互いに冷え切った身体を抱きしめて

「「おかえりなさい」」
「「ただいま」」

毎年毎年、代わり映えしない 十二月のとある日・・・








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霜月夢さま宅から強奪して参りました、クリスマスフリーですv
サンタさんより蟷螂さん達待ってる二人に心底萌えたんだぜ。
全体を覆う雰囲気が大好きですv
ありがとうございました!