ハロウィン3





10月31日、ハロウィン当日

ぼくと蟷螂さんは、一緒にパーティー料理を作るのにいそしんでいた

白鷺さんと蝙蝠さんは屋敷内を走り回り、喰鮫さんと人鳥さんは途中で傍から居なくなり・・・

二人っきりになった

「蟷螂さん」

「…なんだ?」

「部屋に戻りませんか?」

そんな状態で、平常心を保っていられるほどぼくは大人じゃない

「疲れたのか?」

「そうじゃないんですけど…」

押し黙るぼくに、不思議そうな顔をする蟷螂さん

「ダメですか?」

「…致し方ないな どうせやつらも戻ってこんだろうし部屋に戻るか」

「はいっ!!」

認められた途端、嬉しそうに笑う蜜蜂を見て

蟷螂は(まるで犬のようだな・・・)と、思ったが黙っていた



部屋に戻る前に、喰鮫さんとすれ違って 蟷螂さんは彼と二言三言喋る

「何を相談なさっていたんですか?」

「ああ、パーティーが明日になるだろうと言っていただけだ」

「今日は無理でしょうか?」

「鳳凰には悪いが、無理だろうな」

困ったように言う蟷螂さんは、少しだけ歯切れ悪く

「白鷺と蝙蝠が出てこないだろう それに、蝶々と鴛鴦もな…」と 言った



蟷螂さんはそう言ったけれど、本当に厄介なのは人鳥さんのほうだろう

たしかに白鷺さんと蝙蝠さんは部屋から出てこないだろうし、蝶々さんと鴛鴦さんは戻ってこないだろうけど

それ以上に・・・ 危険かつ厄介なのは人鳥さんなのに誰も気付かないから

「喰鮫は暇に任せて本を読むらしい」

「そうですか」

「人鳥を着替えさせてやったらいいだろうに」

と、軽く怒っているらしい蟷螂さんに

「そんなことしたら間違いなく、ぱっくりと食べられてしまいますよ」

とは言えなくて、卑怯だが沈黙をもって返した





暫らく次の仕事の話しをしていたりしたが、話すことがなくなってきて会話が途切れ途切れになる

苦しくなって

「今頃白鷺さんたちどうしてるんでしょうね」と、振ってはいけない話題を振ってしまった

驚いた蟷螂さんは、眉間に皺を寄せて

「他人のそういうことに興味を持つのはいただけないな」と諭してくれた

自分でも間違っているとわかっていたので、何も言わずにうな垂れるしか出来なかった

「だが、お前もああいうことに興味を持つ年ではあるのだな」

「う、あ… は、はい…」

「何をそんなに照れる必要がある?」

小首をかしげながらそんな事聞かないで下さい・・・!!

そう言えたらとても楽なのだろうが、言えるわけも無く ばれない程度に目線をずらした

「したこと無いのか?」

「なッ…!!」

「キスぐらい、したことがあると思っていたのだが」

「な、ないです…」

「そうか」

天然にも程がある蟷螂さんは、考えるように口元に手を当てて黙ってしまう



それから、数分間

「して見るか? 嫌じゃないなら、わたしと」

言われた事を呑み込むまでに約三十秒

「ぇっ、ぇえええ?!」

「そんなに驚くような事か」

「い、いえ」

してやったり!と、思えない自分が悲しい・・・

蟷螂さんが好きだから、他の誰ともキスしてないなんて 本人には言えないのだし

これはとてもチャンスなのだけど・・・

「嫌か?」

「まさか!!」即答してしまった

「そ、そうか…」

くすくすと、可笑しそうに笑う蟷螂さんは 普段より少し幼く見えてどきどきする

「で、するのかしないのか」

「させてもらっていいですか…」

自分の欲には抗えなかったし、蟷螂さんの誘いを断るなんてさらに出来なかった

「いいと言っているのに、相変わらず真面目すぎるな 蜜蜂は」

「あ… 折角ですし、聞いておきますね」

「ああ」

「Trick or treat?」

「トリックの方だな」

「はい」

やっぱり、ぼくが主導権を握るなんて これからさきずっと難しい事なんだ

「…大好きです」

「やっと言ったか」

「気付いてらしたんですね」

「当然だな」

それでも・・・ どこの誰よりも大好きだから

嬉しくて、嬉しくて仕方ないんです

実は何よりも甘いお菓子を貰えたことに、心からハロウィンに感謝を












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霜月夢様宅から強奪してまいりましたハロウィンフリーですv(三回目)(いいかげんくどい)
蜜蟷来た! 兄さんが超余裕だ! 誘いうけ誘いうけ!(うるさい)
みっつんレベルのヘタレだと、相手が誘いうけでもかなりいけることに気が付きました。

どうもありがとうございましたvこれにてハロウィン幕ですv