「おい。式岸。式岸?」




煩い。
そう言おうといて声が出なかった。
喉が焼けるように熱い――からからに渇いている。


視界が揺れる。
ちかちかと入れ替わる様相。




その僅か一瞬に、白髪の男の顔が見えた。







「……つ、り……ぎ」
「お前なあ。餓鬼じゃねえんだから体調管理ぐらいしたほうがいいぜ? 突然ぶっ倒れやがって」
「っ……」
「風邪引いてると可愛いもんだ」






抵抗できない。




何もできない。
くらくらする。
気持ち、悪い。




白くなったり黒くなったり、自分の世界が揺れ動く。









「喋れないのか。つまらないな」





そんな中あいつの声だけが、確かに響いてくる。
気持ち悪い。




「まあいいや。動けないお前で色々やるから、安心して卒倒しろ」
「ってめ……え」







汗ばむ熱い額に、冷たい感触があった。
それに触発されるが如く、世界は真黒に染まる。
気持ち悪くって吐き気がして、










点滅する蛍光灯のような
(だけどその冷たさだけは心地よかった)