見上げた空には満天の星。
割とベタなシュチュエーション。ロマンティックな感じ。
ただ、共に楽しむべき彼女はもういない。




――ほら、星が綺麗ですよっ




奥底で声が響く。



崩子と、彼女と――よく、星を見た。
時々いー兄や、みい姉も来て。
家族で――星を見た。



その昔、人は死んだら星になるというのを信じていた頃がある。
そして今、もう一度それを信じたくなった。



「姫姉――」



一筋、まるで涙みたいに星が流れる。







――姫姉が、幸せでありますように。







心の中で思わず願う。
自分のためには少しも祈らなかった彼女のために、願う。
夢だったはずなのに。決してその夢をかなえようとはしなかった――優しい君へ。




いつもの通り微笑んで、煙草に火をつける。
風向きが悪かったのか、煙が目に入って痛かった。
それから流れ星みたいな水滴が、頬を伝った。










空の星はきみの夢、そして涙
(そう思ってても、いいですか?)