実に四ヶ月ぶりの再会だった。
舞織は顔を綻ばせて「おかえりなさい」と俺に言った。


「ご飯でも食べますか?」
「や……いらねえ」
「そうですか」



思いっきりぶっきらぼうに、不機嫌そうに、言ってソファに座り込む。
目を閉じ世界を拒絶して、あいつの姿を締め出した。



「人識君?」
「俺はお前を、家族だと思ってない」



俺は出て行った。泣いてるお前を慰めもせず、出て行って四ヶ月ももどらなかった。
なのにどうしてお前は、何の気まずさも何の恨みも感じさせず、俺におかえりなんて言うんだろう。




わからない。

それが家族だからか。
ならばその愛情は、酷く鬱陶しい。
というより、重たいのだ。潰れてしまいそうになる。

そう、兄貴や大将達に、ずっとずっと抱いてきた感情はそれだ。




嫌いじゃなかった。
家族なのかもしれないと、思った。





それでも――重たかった。





「私は人識君を、家族だと思ってますよ」
「いらねえよ」
「愛してます」
「いらねえっつってんだろうが」




あの赤色から、こいつが俺を庇ったとき、もうどうしようもない気持ちになったのだ。
だから、どうしようもないのかもしれない。




「傑作だ」





瞳を開けるとそこには、声を上げずに泣いている舞織がいた。










大嫌いと言ってくれ
(それだけで酷く救われる)