夢オチかよってつっこめば、夢オチOKだと思ってるでしょ。



15. 夢 を 見 ろ 、 終 焉 の 夢 を


(零崎×零崎+零崎)





「うわ」




叫び声ともつかぬ声がして、少女は飛び起きた。
その声に呼応するように、愛しの家族が傍に来る。





「・・・…大丈夫かい? ちゃん」
「何事ですかー?」





入ってきた男と少女を瞳に写すと、再度辺りを見回した。





「軋識と人識は?」
「? アスは今居ないけど、人識ならそこに居るよ。おーい人識」





なんだよ兄貴、と部屋の外から声が聞こえる。
その声を聞くか聞かぬかのうちに、少女は携帯を取り出した。
待つのは数秒、直ぐに相手は出る。





「もしもし軋識? うん、うん。大丈夫? 生きてるよね? ああ、ならいいの。うん、なんでもない。邪魔してごめん」






電源を切ると、少女は溜息をついた。






「一体如何したんだい?」
「何かあったんですか?」







「夢を見た」








簡潔にそう言うと、膝を抱いて顔を隠すような仕草をする少女。
二人は首を傾げる。





「好きだったのに殺されて、愛してたのに殺しちゃって、幸せだったのに死んでいって、報われたのか報われなかったのか、ちっとも訳がわかんない夢だった」





そんな夢の話は、されたこっちがわけがわからない。
しかしそんな事は言わず、男は真面目に取り合った。





「・・・・・・つまり、その中では私たちも死んでたってことかい」
「死ぬのか死んでいたのか死んでいるのかって所」





それで、少女が泣きそうな顔をしているわけも、泣いているわけも、男は理解したようだった。





ちゃん。私は生きてるよ」




男は隣の少女を指差す。




「舞織ちゃんも生きてる」
「ですよー」





少女は無い手を振る仕草をした。





「アスだって、人識だって生きている。そりゃ、いつかは死別することだってあるだろうけど」






男は優しく笑った。





「それは今じゃない」


「・・・・・・うん」




ようやく、三人は顔を見合わせて笑った。
その時、玄関のドアが開く音がする。




「・・・・・・帰ってきた、みたいだよアスも」





会いますか?と尋ねた少女に、笑って首を振った。






「いいや・・・・・・もう一回、夢を見るよ。終焉の夢を」







もう一度首を傾げる二人に笑いかけると、少女は目を瞑る。