※蜜蜂君が病んでて、尚且つグロいです。お気をつけて! 起こったのは一瞬だった。 だけど、世の中の多くの事と同じように。 起こり始めたのは随分前だったに違いない。 「っ………が……」 「みつ、ばち?」 腹に突き刺した刀。 細切れに飛び散る血。 苦しそうに喘いでいる、仲間。 思考が、止まった。 「は……っ……はぁ……っ」 「蜜蜂!」 駆け寄って、彼の体躯を支える。 ずしりと重量があって、その重さには覚えが合った。 これではまるで死体だ。 「何を」 聞いている場合ではない。 彼の腹に刺さっている凶器は今尚その肉体を苛んでいるようで、傷口からはとめどなく血が溢れている。 第一に優先すべきは止血だと、止血点を筋肉ごと捻り圧迫。しかしそれも効くのかどうかはかなり怪しい。 驚く事に刺した刀には一片の容赦も躊躇もなく、人を殺すときのそれそのものだったというのがその原因だった。 零れる血が自らの体を染めていくのがわかるが、そんな事は些事に過ぎない。血塗れなど、いつもの事なのだから。 「かまきりさ」 「喋るな」 「血塗れ、ですよ」 圧迫を止めぬまま、反射的に上を向く。 苦しそうに呻く蜜蜂は、自分の体の異常に少しも気付かないような、寧ろこちらを思いやる様な瞳をしていた。 何を言っている。 そう問う前に、強い力で腕をとられた。 「止めろ蜜蜂! お前が」 片手では十分な圧迫が出来ない。しかし蜜蜂の力は予想外に強固で、全力を出してもつかまれたまま離せない。 そして何より、 「大丈夫、ですか?」 常時と変わらない、変わらないからこそ異常な表情が、振り払うことを躊躇させる。 何かが壊れてしまいそうな、否。 何かが壊れているような。 言葉の出ない蟷螂に、蜜蜂は不思議そうな顔をしてから、その血塗れの手を丁寧に舐めた。 蜜蜂自身の血液で汚れてしまっている、傷一つない蟷螂の手を、丹念に。 自らの肉体から流れ出る液体など、見えないかのように頓着せず。 実際――見えていないのかも、知れなかった。 「蜜蜂」 「喋っちゃ駄目ですよ……傷に障ります」 いまや蟷螂の手は完全に蜜蜂の体から離れていて、ただただなされるがままになっている。 虚脱しきってしまった体に再び力を入れる事は不可能、で。 「蟷螂さん? だ、大丈夫ですか? どこか痛かったり、」 ただ一つ、生まれてこの方見たことのない自分の涙が頬をつたう。 既に一面に広がった血の色を受けて、さながら血の涙と言った体裁の醜すぎる液体は、すぐに純血の中に落ち込み混ざってしまい。 それを見て心配そうに蜜蜂は声をあげるけれど、その原因は既にわかってしまっていたのだ、蟷螂には。 まず手始めに、壊れた物の話をしよう (すべてのかんじょうにおしつぶされてしま |