「そんなわけないじゃん」





男は甲高く笑うと、そう断言した。






「おれらだって、仲間が死んだら哀しいしつらいっつーの」
「嘘だな」







女はにこりともせず、そう断言した。








「何で?」
「しのびとはそう言うものだろう」
「んだそれ。生まれてこの方ずっとそうだと思ってんのか」






あんたと違ってこの世に生まれたその時から道が決まってたわけじゃないんだよと男は言う。

女には真意など二割も伝わらぬまま、いやあんたの場合は途中で決まったんだっけと男は言う。







「哀しいんだよ。これは俺らが血反吐吐いて手に入れた強さなんだっつーの」
「強さ、ね」






そんなものを強さと呼ぶならとても不愉快だしそれならわたしは強さなど必要ないと女は言う。

男が不自然に笑ったのにも気付かないまま、いやその強さを得ぬことこそがわたしのつよさなのだと女は言う。






「貴様らの強さは、残酷だ」
「あのさ、子猫ちゃん」






あんたのよわさだってじゅうぶんざんこくだぜじかくしてる?



相変わらず男の言葉の真意は、女に二割も伝わらなかった。








(失礼訂正)(いつもいつでも大嫌い)