blue 【ぶるー】

1 青色, 空色, 紺, 藍色。
2 (the 〜)空;海;
未知のかなた。
3 <戯>玖渚友のこと。

bunny【ばにー】

1 <俗・時に軽蔑>かわいこちゃん, 活発で魅力的な女の子。
2 <俗>だまされやすい人。



玖渚の髪を結ぶ。
今日は上のほうで二つ結び、所謂ツインテール。
結び終わっても彼女はぼくの前からどかず、首を後ろに擡げる姿は、宛ら青い兎のようだった。
いや、戯言だけどね。


「ふにー。いーちゃん、ありがと」


そう言っても玖渚はぼくから離れる気配を見せず、どころかぼくに抱きついてきた。
たぶんいつもの充電だろうと、されるがままにするぼく。



「ねえいーちゃん」
「なんだ、友」
「兎は寂しいと死んじゃうんだよ」




どく、とぼくの心臓が跳ねた。


独り言が服を着て歩くと誰に言われたのかもしれない、しかしぼくの事をぴたりと表している言葉が脳裏に浮かぶ。


どうして思考してた事と独り言がごっちゃになってるんだ?
そろそろ病院に行ったほうがいいのかもしれない。行かないけど。


玖渚は、そんな僕の思考すら見透かしたように笑った。



「心配しなくても声に出してないよ。僕様ちゃんが考えただけ。いーちゃんは何考えてるかなって。その様子だと図星みたいだねー」
「……本当、お前には驚かされるよ」
「いーちゃんの事なら全部分かるよ。いえい以心伝心!」



ブイサインをこちらに向けてくる玖渚。
ぼくはその頭を軽く抱くようにする。




ぼくの事なら全部分かる。




そんな軽い言葉を考えるようにしつつ――
果たしてぼくがこいつをどう思ってるかも、こいつには分かっているのだろうか、などと戯言。





もし――わかっているのなら。






教えて欲しい。
心の底から、冗談でも嫌味でもなく。


教えて欲しい。





「友」
「何? いーちゃん」
「好きだよ」






青い兎は騙される。
言った当人すら信じられない、愛の言葉を信じ込む。




それは何故?




寂しいと、死んでしまう、から?
人がいないと死ぬしかないから?





「僕様ちゃんもだよ」





それでも彼女は笑うから。
泣けない彼女は笑うから。





ぼくは彼女と共にいる。